問題を解決するには、アトピー性皮膚炎についての正しい知識が重要です。
有馬温泉病院での難治性成人型のアトピー性皮膚炎の治療経験で最も驚いたことは温泉療法の効果のすばらしさです。新聞に報道されたためもあり、数十人の患者さんが来られました。皮膚科の専門の先生の治療をあちこちで受けられた方々で重症の方が多いでした。しかし、殆どの方がとても良くなられ、退院されてからも良い状態が続いておられる方が多いのには驚きました。
何故、有馬温泉病院でのアトピー治療はこれほど効果があったのでしょうか。
私は、温泉の特別な成分の効果とは考えていません。
有馬温泉病院には何種類もの温泉が引いてあり、患者さんによって「私は金泉が効く」「私は銀泉が効く」とバラバラで,何十人もの患者さんが治っていかれる様子を診ていますと、温泉の中の特別な成分というよりも,「一生懸命に温泉に入浴されること」が重要だと考えられました。アトピーの温泉療法を専門になさってきた他の先生方のご意見もそういう方が多いです。水道水での入浴もほとんど同じ効果があるのですが、温泉でないと日に何回も入浴する気が皆さん起こらないようです。だから温泉地での湯治が効くのだというのが私の考えです。
有馬温泉病院では「アトピーに良い食事」が給食として出ていたのも幸いしたようです。
もともと老人病院で高野豆腐の煮付けなど,丁度大正時代の日本食を中心とした大変あっさりとした食事が出ていました。その上,合成保存料などは嫌がられ出汁も昆布や鰹節などを使って朝早くから用意し、昼食がうどんの日などは病棟回診のときには1階の食堂からもうプンプン良い臭いが4階にまで臭ってきたものでした。こういった入院食も有馬温泉病院でアトピーの患者さんたちの治りが良かった理由の一つでしょう。もちろん、都会から離れた裏六甲の山林に囲まれた素晴らしい環境も良かったと思います。ストレスなどは一度に吹き飛んでしまう最高の立地条件でした。